Gondo Lab at UT

連続講座

東京大学建築生産マネジメント寄付講座 連続レクチャー「つくるとは、」の開催情報をこちらでご案内しています。
We are providing information about our lecture series, [Makers on Making], hosted by the Gondo Laboratory at the University of Tokyo. We invite two guests who are architects/entrepreneurs primarily in the architectural design-build field to each lecture. The lectures are held every two months and conducted in Japanese. A new book based on this lecture series will be published in May 2024, predominantly in Japanese with sections in English.
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第13回レクチャー(11月1日開催)が決まりましたので、お知らせ致します。レクチャーの詳細および参加お申込みはこちらのページよりご覧ください。参加には事前登録が必要です。




[連続講義つくるとは 序文]

生きるためにつくる、つくるために生きる

「つくること」とわたしたちの距離が、ここ数年で急激に縮まってきたと感じる。DIYという言葉はここ数年ですっかり市民権を獲得し、テレビ番組やYOUTUBEを毎日の様に賑わす。各地に眠る空き家を仲間でリノベーションをして活用する動きも、もはや珍しくない。デジタルファブリケーションの普及は、生活者や設計者に、ものや空間をつくる自由をもたらす。一体何が、忙しい現代社会を生きるわたしたちを、「つくる」ことに突き動かすのだろうか。 

 生きるためには、つくらなければならない。厳しい自然環境や社会の中で生きる延びるためには、雨風を凌ぐ住居や、生活を営むための道具をつくり続ける必要がある。生きるためにつくる – それは太古の時代から今に至るまで変わらない、人間の最も根源的な行為のひとつだ。

 つくることには、もうひとつの重要な側面がある。それは、つくる行為それ自体が、人々に生きる喜びをもたらすということだ。誰もが一度は、何かをつくることに時間を忘れる程夢中になった経験があるだろう。何かを生み出せたその感動を一度味わうと、もう抜け出すことはできない。より高い精度と効率、未知なる創造を求めて、新たなモノや空間を夢中になって作り続ける。つくることは、人々の生き甲斐にもなる。ここに、つくるために生きる人々の姿を見出すことができる.

 まだ見ぬものを追い求め、絶えず作り続けるこの精神は、現代社会の産業を推し進める原動力のひとつだ。人間の果てしない創造力によって、新たなモノや空間、テクノロジーが猛スピードでこの世界に生み出され続ける。市場主義経済はこの速度に拍車をかける。過剰と言っても良いほど激しい市場競争の中で、つくり続けなければ、生き残ることができないということもまた事実である。

わたしたちは、生きるためにつくるし、つくるために生きる。「つくる」ということは、人間の根源的な願望や必要性に根ざしながらも、現代社会で生きていくことの複雑さを抱えている。本レクチャーシリーズでは、主に建築分野における「つくる」という行為に焦点を当てる。変わり続ける実社会の中で仕組みを再構築し、実践を行う当事者たちをゲストに迎える。彼らとのディスカッションを通じて、つくるとは、どういうことなのか考えていきたい。

東京大学 建築生産マネジメント寄付講座権藤研究室研究員
連続講義「つくるとは、」ディレクター

河野直


<過去の開催情報>